「失業給付をもらっている途中で病気になったらどうなるの?」
失業給付(基本手当)を受けている最中に病気やケガで働けなくなった場合、通常の失業認定を受けることができなくなります。そんなときに活用できるのが「傷病手当(雇用保険)」と「受給期間の延長」の制度です。この記事では、それぞれの仕組みと選び方をわかりやすく解説します。
⚠️ 健康保険の「傷病手当金」とは別の制度です
この記事で解説する「傷病手当」は雇用保険(ハローワーク)の制度です。在職中に病気・ケガで休業した場合に健康保険から支給される「傷病手当金」とは別の制度ですので、混同しないよう注意してください。
雇用保険の傷病手当とは?
雇用保険の傷病手当とは、失業給付の受給資格者がハローワークで求職の申込みをした後に、病気やケガのために職業に就くことができない場合に支給される給付です(雇用保険法第37条)。基本手当の代わりとして、同額が支給されます。
📌 傷病手当の基本情報
- 支給額:基本手当日額と同額
- 支給日数:所定給付日数から既に支給された日数を引いた残日数が上限
- 申請先:管轄のハローワーク
- 支給形式:基本手当の代わりとして支給
傷病手当を受けられる条件
以下のすべての条件を満たす必要があります(雇用保険法第37条第1項)。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 受給資格者であること | ハローワークで受給資格の決定を受けていること |
| 求職の申込みをした後に傷病が生じたこと | ハローワークへの求職申込み前からの傷病は対象外 |
| 傷病のために職業に就くことができないこと | 病気・ケガが理由で就労不能な状態であること |
| 傷病が継続して15日以上であること | 15日未満の場合は証明書による失業の認定で対応する |
⚠️ 15日未満の場合は傷病手当ではなく証明書での対応
病気やケガで認定日にハローワークへ出頭できない場合でも、期間が継続して15日未満のときは、証明書を提出することで通常の失業の認定を受け、基本手当を受け取ることができます。この場合は傷病手当の対象にはなりません。
傷病手当が支給されない日
以下の日については、傷病手当は支給されません。
| 支給されない日 | 理由 |
|---|---|
| 7日間の待機期間中 | 全員に適用される待機期間中は支給なし |
| 給付制限期間中 | 自己都合退職による給付制限期間中は支給なし |
| 健康保険の傷病手当金が支給される日 | 他の給付との重複を避けるため |
| 産前産後の期間(出産予定日6週間前〜出産後8週間) | この期間は傷病手当の対象外 |
受給期間の延長とは?
受給期間の延長とは、失業給付の受給期間(退職翌日から1年間)内に病気・ケガなどの理由で職業に就くことができない日がある場合、その日数分だけ受給期間を延長できる制度です(雇用保険法第20条第1項)。
📌 受給期間延長の基本情報
- 延長できる期間:引き続き30日以上職業に就くことができない日数分
- 最大延長期間:最大3年間(延長後の受給期間は最大4年間)
- 延長が認められる理由:疾病・負傷、妊娠・出産・育児、介護など
- 申請先:管轄のハローワーク
傷病手当と受給期間延長の違い
傷病手当と受給期間延長は、どちらも病気・ケガのときに活用できる制度ですが、性質が異なります。状況に応じてどちらを選ぶか判断することが重要です。
| 項目 | 傷病手当 | 受給期間の延長 |
|---|---|---|
| 申請のタイミング | 求職申込み後に傷病が生じた場合 | 求職申込み前・後どちらでも可 |
| 給付の内容 | 基本手当日額と同額を支給 | 受給期間(1年)が延びるが給付はなし |
| 所定給付日数への影響 | 支給された日数分が消化される | 所定給付日数は減らない |
| 受給期間への影響 | 受給期間は延長されない | 受給期間が最大4年に延長される |
| 必要な最低日数 | 継続15日以上 | 引き続き30日以上 |
どちらを選べばいい?
✅ 選択の目安
- 傷病手当が向いているケース:求職申込み後に傷病になった・早く給付を受け取りたい・傷病が治ったらすぐ就職活動を再開できる
- 受給期間延長が向いているケース:まだ求職申込みをしていない・長期療養が見込まれる・所定給付日数を温存して回復後にまとめて受給したい
⚠️ 受給期間延長申請後に傷病手当に切り替えることもできる
受給期間の延長申請をした後でも、同一の傷病を理由として傷病手当の支給申請をすることができます。ただし、この場合は受給期間の延長申請が当初にさかのぼって取り消されます。ハローワークに相談のうえ、自分の状況に合った選択をしましょう。
申請手続きの流れ
傷病手当の申請手順
📌 傷病手当の申請手順
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 傷病の発生を把握 | 求職申込み後に病気・ケガが15日以上継続することを確認 |
| ② ハローワークへ連絡 | 認定日に出頭できない旨を事前にハローワークへ連絡する |
| ③ 傷病手当支給申請書を提出 | 傷病が治った後の最初の支給日までに申請書を提出する |
| ④ 支給決定・振込 | ハローワークの認定後に基本手当日額と同額が支給される |
受給期間延長の申請手順
📌 受給期間延長の申請手順
| ステップ | 内容 | 期限 |
|---|---|---|
| ① 延長事由の確認 | 30日以上職業に就けない状態になったことを確認 | — |
| ② 延長申請書の提出 | 受給期間延長等申請書に必要書類を添付してハローワークへ提出 | 職業に就けなくなった翌日から離職翌日起算4年以内 |
| ③ 延長後に求職申込み | 傷病が回復したらハローワークで求職の申込みをして受給手続きを行う | 延長された受給期間内 |
まとめ
📌 重要ポイント
- 雇用保険の傷病手当は健康保険の傷病手当金とは別の制度
- 傷病手当は求職申込み後に15日以上の傷病がある場合に基本手当日額と同額が支給される
- 受給期間延長は30日以上就労不能な場合に受給期間を最大4年まで延長できる
- 傷病手当は所定給付日数を消化するが、受給期間延長は消化しない
- 両者はどちらか一方を選択する(後から切り替えも可能だが注意が必要)
| ✅ 病気・ケガになったときの確認リスト | |
|---|---|
| ハローワークへの求職申込み前か後かを確認した | □ |
| 傷病が15日以上(延長申請は30日以上)継続するか確認した | □ |
| 傷病手当か受給期間延長かどちらを選ぶか検討した | □ |
| ハローワークに状況を連絡した | □ |
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